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第52巻 第1号

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症例報告
急性腹症から急性腎不全・DICを呈した巨大子宮腫瘍の1例
仲神 宏子, 岡垣 竜吾, 木村 真智子, 鈴木 元晴, 難波 聡, 三木 明徳, 梶原 健, 亀井 良政, 石原 理
埼玉医科大学病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):155-158, 2015

 今回我々は,巨大子宮腫瘍を伴う急性腹症の精査中に急性腎不全・DICを発症し,診断に苦慮したが緊急手術により救命し得た1例を経験した.症例は40歳,3経産.月経3日目に嘔吐,下腹部痛を主訴に他院救急外来を受診.単純CTで骨盤内に巨大腫瘤を指摘され,当院婦人科へ搬送された.来院時には腹部全体を占拠する腫瘤に自発痛・圧痛を認め,嘔吐・下痢症状が主体であった.単純MRIで子宮筋腫の変性と内膜の液体貯留を指摘された.入院後3日目,原因精査中に,突然の意識レベルの低下,急激なHbの低下,CRP上昇,急性腎不全所見を呈した.子宮筋腫内出血による循環不全または子宮留膿腫による敗血症性ショックと考え,緊急開腹手術を施行した.開腹すると子宮体部全体が両側付属器ごと時計回りに360度捻転していた.腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した後,腎不全・DICは軽快し,術後16日で退院に至っている.病理診断は壊死と変性を伴っていたが子宮平滑筋腫であった.本症例は子宮捻転による子宮の高度の鬱血と壊死から,循環不全とDICに至ったと推測された.子宮捻転は子宮が長軸に沿って45度以上回転したものと定義されている.非妊娠子宮での本疾患の発症は極めて稀ではあるが,重篤な転帰をとりうることから,子宮筋腫に急性腹症を伴った場合の鑑別診断として極めて重要であると考えられた.

Key words:leiomyoma, uterine torsion, acute renal failure, DIC
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