バルトリン腺癌は外陰癌の0.1~5%と稀な疾患であり,なかでもバルトリン腺腺様嚢胞癌はバルトリン腺癌の10~15%とされる.進行が緩徐であり臨床症状に乏しいため,確定診断にまで時間を要する例も少なくない.我々は急速に進行した未分化癌成分を含むバルトリン腺腺様嚢胞癌の一例を経験したため報告する.
症例は52歳,2経妊2経産.5年前より無痛性の右外陰部腫瘤を認めていたが受診せず,疼痛を自覚したため受診した.2 cm大の腫瘤を認め,バルトリン腺膿瘍を疑い嚢腫内容穿刺を試みたが少量の液体成分が吸引できたのみであった.2週間後開窓術を施行したところ硬結を伴う腫瘤を認め摘出不可能であり,4か月後右外陰部腫瘤切除術を施行した.病理組織検査診断は未分化癌成分を含むバルトリン腺腺様嚢胞癌であった.術後PET検査で多発骨盤リンパ節転移を認め,外陰癌IVB期と診断し,Carboplatin/Paclitaxelによる化学療法を施行した.しかし奏功せずAdriamycinなどの投与や放射線治療を施行したが多発肝転移を生じ,治療開始から1年2か月で死亡した.
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