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第52巻 第4号

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症例報告
高プロラクチン血症を伴う周産期心筋症に対し抗プロラクチン療法を施行した一例
佐藤 愛佳1), 野口 里枝1)2), 新 夏樹1), 玉井 はるな1), 大原 玲奈1), 八木 洋也1), 安部 加奈子1), 永井 優子1), 小倉 剛3), 小畠 真奈1), 濱田 洋実1), 石津 智子4), 吉川 裕之1)
1)筑波大学医学医療系産科婦人科学
2)茨城西南医療センター病院産婦人科
3)龍ヶ崎済生会病院産婦人科
4)筑波大学医学医療系循環器内科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):561-566, 2015

 高プロラクチン血症を伴う周産期心筋症に対し抗プロラクチン療法を施行した一例を経験したので報告する.症例は35歳の初妊婦.30歳時に多発内分泌腫瘍I型と診断され,下垂体微小腺腫による高プロラクチン血症を認めていた.自然妊娠し,妊娠27週5日に高カルシウム血症に対して副甲状腺全摘を行った.妊娠40週1日に経腟分娩した後,分娩後1時間で原因不明の肺水腫を伴う左心不全の状態となったが,利尿薬投与による心不全治療にて産褥1日に一旦症状は改善した.産褥4日,再度心不全症状が出現し,NYHA心機能分類はClass IV,左室駆出率20%まで低下し,周産期心筋症と診断した.人工呼吸器管理と通常の心不全治療に加え,産褥5日よりブロモクリプチン投与による抗プロラクチン療法を開始した.産褥11日に人工呼吸器管理を離脱した後,左室駆出率は27%, NYHA Class IIまで改善し産褥40日に退院した.産褥5か月には左室駆出率54%まで改善した.本症例は妊娠前からの高プロラクチン血症が,周産期心筋症の発症に影響を与えた可能性がある.

Key words:Peripartum cardiomyopathy, hyperprolactinaemia, bromociptine, MEN type 1
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