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第52巻 第4号

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症例報告
生児を得た胎児共存奇胎の1例
藤原 静絵1), 大平 哲史2), 大岡 尚実1), 宮本 翼1), 鈴木 昭久1), 松原 直樹1), 山崎 輝行1), 塩沢 丹里2)
1)飯田市立病院産婦人科
2)信州大学医学部産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):609-615, 2015

 胎児共存奇胎は,正常胎児と胞状奇胎との双胎という非常に稀な病態である.早産,妊娠高血圧症候群,胎児死亡等の妊娠合併症を高率に発症するため,生児を得ることができるのは半数以下とされる.今回我々は,生児が得られた胎児共存奇胎の1例を経験した.症例は27歳,1経妊0経産の女性で,排卵誘発周期に妊娠が成立した.妊娠15週時に腹部超音波検査で正常胎盤に連続し嚢胞が集簇する構造を認め,血中hCG値は332,916 mIU/mlと異常高値であった.妊娠16週時に施行した羊水染色体検査は46,XYの正常核型であり胎児共存奇胎が疑われたが,血中hCG値は妊娠16週の1,090,620 mIU/mlをピークに低下し妊娠31週には正常範囲となった.妊娠35週で陣痛発来し,2,045 gの男児を経腟分娩した.胎盤の病理組織学的検査により正常胎児と全胞状奇胎の共存奇胎と診断された.分娩後,血中hCG値は順調に低下した.本症例を加えた過去の報告の症例集積から,妊娠中のhCG値が妊娠20週までに低下傾向を示す症例では生児を得られる可能性が高いと考えられた.

Key words:complete hydatidiform mole coexistent with a fetus, hCG, twin pregnancy
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