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第52巻 第4号

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症例報告
妊娠21週で流産に至ったリステリア感染症合併妊娠の一例
園田 正樹, 森田 政義, 堀澤 信, 山本 かおり, 布施谷 千穂, 本藤 徹
長野赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):617-622, 2015

 リステリア感染症は,食品を介して集団感染することのある人獣共通感染症である.リステリア症は稀な感染症であるが,妊娠中は健康人と比較して十倍以上感染しやすいとされ,母体死亡,流早産の原因になる1).今回我々は,妊娠21週でリステリアによる敗血症を来し,流産に至った症例を経験したので報告する.症例は22歳,1経妊0経産,モンゴル人,母国での人工妊娠中絶後に子宮内避妊具を挿入していたが,自然妊娠が成立し,日本で妊婦健診を受けていた.妊娠18週よりモンゴルに帰省し,日本に帰国した直後の妊娠21週3日に発熱,咽頭痛,子宮収縮を主訴に当科を受診した.超音波検査で胎児死亡を確認し,精査加療目的に入院となった.入院時の白血球数は22,900/μl, CRPは14.0 mg/dlと高値であった.インフルエンザ抗原は陰性.子宮内避妊具に関連した子宮内感染を疑い,TAZ/PIPC 13.5 g/dayを開始した.入院後速やかに陣痛発来し,460 gの女児を娩出した.入院時の腟・尿・血液培養からListeria monocytogenesが同定された.3日目に症状,検査所見は著しく改善した.感染の原因食材はモンゴルで摂取したチーズや羊肉を疑った.抗生剤はセフェム系が無効であるため,塗抹・培養でグラム陽性桿菌が検出された場合には,ABPCの使用を考慮する事が重要である.

Key words:Listeriosis, Listeria monocytegenes, pregnancy, miscarriage, chorioamnionitis
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