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第52巻 第4号

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症例報告
不妊治療中に発見された結核性腹膜炎の一例
大西 賢人1), 大石 元1), 矢野 直美2), 諸宇 ヒブン1), 郷田 朋子1), 中西 恵美1), 張 士青1), 中西 美紗緒1), 桝谷 法生1), 高本 真弥1), 定月 みゆき1), 山澤 功二1), 矢野 哲1)
1)独立行政法人国立国際医療研究センター産婦人科
2)池下レディースクリニック吉祥寺
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):705-709, 2015

 結核性腹膜炎は稀な疾患であり,原因としては結核の再燃や結核性卵管炎からの波及などが考えられており,不妊症の原因となる.
 症例は34歳,0経妊で不妊を主訴に不妊症専門クリニックを受診し,排卵誘発中に多量の腹水貯留を来したため精査加療目的に当科紹介受診となった.喀痰,腸液,腹水などの検体からは細菌学的に結核菌感染を証明できなかったが,腹水中adenosine deaminase(ADA)活性高値,血中・腹水中CA125高値から結核性腹膜炎を強く疑い,腹腔鏡検査を実施したところ両側卵管水腫および結核性腹膜炎に特徴的な腹膜病変を認め,両側卵管摘出術および腹膜生検を施行した.組織学的にも結核菌感染は証明できなかったが,臨床的に結核性腹膜炎であると診断した.抗結核薬の内服を開始したところ速やかに症状の改善を認め,6か月間の内服で治療を終了した.治療終了後3か月目にはICSIにて妊娠が成立した.
 結核性腹膜炎の診断には腹水中ADA値測定や腹腔鏡検査を含む種々の検査を施行して総合的に判断することが必要であり,原因不明の腹水貯留を認めた場合に鑑別診断に挙げることが重要である.

Key words:tuberculous peritonitis, infertility, adenosine deaminase, laparoscopy
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