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第52巻 第4号

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症例報告
子宮腺筋症が発生母地と考えられた子宮体部癌肉腫の1例
谷口 真紀子1), 早乙女 啓子1), 片山 素子1), 木須 伊織1), 野木 才美1), 三浦 裕美子1), 後藤 妙恵子1), 緒方 謙太郎2), 玉田 裕1)
1)国家公務員共済組合連合会立川病院産婦人科
2)国家公務員共済組合連合会立川病院病理科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):771-775, 2015

 【緒言】子宮腺筋症の癌化による子宮体癌の発生は稀であり,また組織型として癌肉腫が報告されたのは,これまでのところ国内外を含め2例のみである.われわれは3例目となる子宮腺筋症が発生母地と考えられた癌肉腫を経験したので,報告し考察を加える.【症例】59歳,以前より子宮腺筋症を指摘されていたが,閉経後にもかかわらず増大傾向を示したため,当院紹介となった.MRI検査にて子宮肉腫様腫瘤を認めたため,子宮肉腫疑いにて腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術を施行した.子宮腫瘍の割面は黄色調の軟性腫瘤であり,両側付属器や子宮内膜,子宮頸管腺領域には肉眼的異常を認めなかった.病理組織検査にて癌肉腫と診断されたが,悪性所見は子宮筋層内にとどまるのみで,子宮内膜面に腫瘍は認めなかった.以上より子宮腺筋症由来の癌肉腫として診断した.術後補助療法として抗がん剤治療を6サイクル施行したが,術後9か月で骨盤内に再発を認めた.再発治療後に再々発をきたし,初回手術2年後に死亡された.【考察】子宮腺筋症は稀ではあるが癌化するリスクがあるため,閉経後も注意深い経過観察が必要である.

Key words:adenomyosis, uterine cancer, pathology, postmenopause
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