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第52巻 第4号

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症例報告
術前に卵管留血腫と診断されていた嚢胞性子宮腺筋症の一例
中原 万里子1), 宮井 健太郎1), 白井 洋平1), 田中 美香1), 折笠 英紀2)
1)東京都保健医療公社東部地域病院婦人科
2)東京都保健医療公社東部地域病院検査科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):777-782, 2015

 嚢胞性子宮腺筋症は子宮腫瘍の0.36%と比較的稀であり,これまでの報告では術前診断が困難であった例が数多く報告されている.今回,術前に画像所見より卵管留血腫と診断した嚢胞性子宮腺筋症の一例を経験した.症例は34歳,1経妊0経産,既往歴,家族歴に特記事項なし.数年前より頻回な下腹部痛を認めていた.右下腹部痛の増強を主訴に前医を受診し,右付属器腫瘍の増大が疑われ当科紹介受診となった.骨盤MRI検査で右卵巣と卵管角の間に径28 mm,長さ70 mm程度の管状構造を認め,内腔はT1強調像で高信号,T2強調像で等信号で一部shadingを示した.腫瘤壁はやや肥厚しており,軽度の造影効果を認めた.右卵管留血腫の診断となったが,鎮痛薬が無効である強い腹痛,右鼠径部痛を認めており,腹腔鏡下手術を行う方針とした.術中,卵巣,卵管を確認すると明らかな異常所見はなく,子宮右側前壁漿膜下に広間膜内に発育するように腫瘤を認め,病理組織学的所見で嚢胞性子宮腺筋症と診断した.術後,腹痛は著明に改善した.嚢胞性子宮腺筋症はさまざまな画像所見を示す可能性がある.今回のように,卵管留血腫と診断されていても,月経困難症等の症状が増強する場合は嚢胞性子宮腺筋症も考慮し,腹腔鏡下検査を行うことが望ましい.

Key words:cystic adenomyoma, cystic adenomyosis, endometriosis
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