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第53巻 第1号

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症例報告
卵巣癌と鑑別を要した胃原発GISTの1例
曽根原 健太1)2), 小原 久典2), 橘 涼太1), 鹿島 大靖2), 宮本 強2), 塩沢 丹里2)
1)飯田市立病院産婦人科
2)信州大学医学部産科婦人科学教室
関東連合産科婦人科学会誌, 53(1):69-75, 2016

 画像の形態的特徴により卵巣癌との鑑別を要した胃原発消化管間質腫瘍(GIST:gastrointestinal stromal tumor)の1例を経験したので報告する.症例は70歳の女性で腹部膨満感を主訴に前医を受診したところ,腹腔内を占拠する巨大腫瘤を指摘され当科に紹介された.42歳時に子宮筋腫に対して腹式単純子宮全摘術を施行されていた.MRI検査では骨盤内から剣状突起に及ぶ径26 cmの充実性部分を伴う多房性腫瘤が認められ,T1及びT2強調像で低信号から高信号の嚢胞が混在し卵巣粘液性腺癌を疑った.造影CT検査では腫瘤への上胃大網動脈及び上腸間膜動脈からの栄養血管を同定したが,両側卵巣動静脈との連続性は確認できなかった.しかし,MRI検査の形態的特徴より卵巣粘液性腺癌と術前診断し開腹手術を施行した.腫瘤は胃から発生しており術中迅速組織診断で間葉系腫瘍と診断した.腫瘍と卵巣動静脈との連続性は認められないため胃原発の間葉系腫瘍と術中診断し,腫瘍摘出術と胃部分切除術を施行した.病理検査にて胃GISTと診断し術後補助化学療法としてメチル酸イマチニブの投与を行った.腹部腫瘤を認めた場合は婦人科疾患以外にも鑑別すべき疾患は多岐にわたるが,腫瘤の形態的特徴以外にも血流支配や周辺臓器との位置関係などを十分に検討し術前診断を行うことが重要であると考えられた.

Key words:gastrointestinal stromal tumor, ovarian tumor, multi planar reconstruction
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