婦人科悪性腫瘍に合併した炎症性筋疾患は悪性腫瘍の病勢と関連があるものの，悪性腫瘍の病因としての病態生理は不明である．今回当院で経験した2例の婦人科悪性腫瘍に合併した炎症性筋疾患に関して臨床的推移を提示する. ［症例1］56歳，2経妊2経産．両側鼠径リンパ節腫大，皮疹，筋力低下を主訴に受診し，精査で皮膚筋炎，卵巣癌IV期の診断となった．術前化学療法施行後に腹式単純子宮全摘出術，両側付属器摘出術を施行した．術後化学療法を施行し，悪性腫瘍の再発はなく，皮膚筋炎も軽快した．術後化学療法終了から半年後，リンパ節転移と皮膚筋炎悪化を認め，二次的腫瘍減量手術，化学療法を施行したが，治療効果なく永眠された. ［症例2］43歳，0経妊．筋痛を主訴に受診し，精査で多発性筋炎，子宮頸部腺癌IIA2期の診断となった．術前化学療法施行後に根治術を施行し，多発性筋炎は軽快した．術後化学療法施行中に脳転移，多発性筋炎増悪を認め，放射線療法を施行していたが，悪性腫瘍の病勢は悪化し永眠された．悪性腫瘍に関連した炎症性筋疾患の活動性は，合併する悪性腫瘍の病勢に相関し，悪性腫瘍の治療により軽快する傾向にあった．