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第53巻 第1号

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症例報告
無症状で受診し術後病理組織診断で巨大卵巣カルチノイドと診断された1例
横川 桂1), 高島 明子1), 石田 洋昭1), 安達 知弘1), 佐々木 泉1), 萬来 めぐみ1), 瓜田 麻由美1), 横山 安哉美1), 竹下 直樹1), 徳山 宣2), 蛭田 啓之2), 木下 俊彦1)
1)東邦大学医療センター佐倉病院産婦人科
2)東邦大学医療センター佐倉病院病理部
関東連合産科婦人科学会誌, 53(1):99-104, 2016

 カルチノイド腫瘍の概念は境界悪性の内分泌細胞腫瘍とされる.約70%が消化器系に発症し,卵巣原発カルチノイドは全卵巣腫瘍の中でも約0.1%以下と言われる非常に稀な疾患である.一般的に消化器症状をきたす事が多い.今回特徴的な自覚症状なく,画像診断にて子宮漿膜下筋腫又は左付属器腫瘍と診断し手術を施行し,病理組織診断で卵巣カルチノイドと診断された1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
 症例は42歳.下腹部腫瘤感を主訴に受診した.超音波断層法及び骨盤部造影MRI検査から子宮漿膜下筋腫または左付属器腫瘍と診断し手術を施行した.術中所見では左付属器に15 cm大の充実性腫瘍を認め,左付属器摘出術を施行した.術後病理診断にて卵巣カルチノイドと診断された.本症では挙児希望があった為術後追加療法は施行せず,経過観察中である.卵巣カルチノイドは境界悪性腫瘍である為,子宮全摘出術+対側付属器摘出術+大網部分切除術が推奨される.I期での10年治癒率はほぼ100%と報告されており,予後は基本的に良好である.稀に再発や死亡例なども認められるため,長期的かつ慎重な経過観察が必要である.卵巣カルチノイドは稀な疾患ではあるが骨盤内充実性腫瘍の鑑別疾患として念頭に置くべきと思われた.

Key words:Ovarian strumal carcinoid, ovarian tumor
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