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第53巻 第1号

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症例報告
卵巣癌術後Bevacizumab単剤継続投与中に急性硬膜下血腫を発症した一例
藤野 一成, 塩澤 正之, 氏平 崇文, 金田 容秀, 木村 美葵, 太田 剛志, 寺尾 泰久, 板倉 敦夫, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 53(1):113-119, 2016

 急性硬膜下血腫は,多くは頭部外傷により脳を覆う硬膜と脳の間に血腫を形成する.その血腫が引き起こす急激な脳圧亢進により,頭痛・嘔吐・意識障害を呈する救急神経外傷疾患である.今回我々は,卵巣癌術後の補助化学療法としてBevacizumabを単剤継続投与中に急性硬膜下血腫を発症した一例を経験したので報告する.
 症例は46歳,卵巣癌IIIC期に対して根治術を施行.補助化学療法として,Paclitaxel・Carboplatin+Bevacizumab療法(TC+Bev療法)を6サイクル施行後(Bevacizumabは初回を除く5サイクル),Bevacizumab単剤継続投与2サイクル目を施行後に,急性硬膜下血腫を発症した.
 入院を要したが頭痛以外の症状ないため,経過観察のみで改善した症例を経験した.本邦において卵巣癌患者に対するBevacizumabの副作用としての急性硬膜下血腫は初の報告である.Bevacizumabの有害事象として消化管穿孔や高血圧,蛋白尿などが知られているが,脳出血の頻度は極めて少ない有害事象である.しかしその発症は致死的となる事が多く,Bevacizumab投与中には神経症状の有無にも留意する必要がある.

Key words:Bevacizumab, Ovarian Cancer, Intracranial Hemorrhages, Subdural Hematoma, Adverse Drug Event
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