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第53巻 第1号

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症例報告
悪性転化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫の4例
佐藤 翔, 長谷川 幸清, 市川 大介, 新谷 大輔, 矢野 友梨, 宮坂 亞希, 藪野 彰, 今井 雄一, 西川 忠曉, 田丸 俊輔, 黒崎 亮, 吉田 裕之, 安田 政実, 藤原 恵一
埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科
埼玉医科大学国際医療センター病理診断科
関東連合産科婦人科学会誌, 53(1):127-132, 2016

 卵巣悪性腫瘍の中で,悪性転化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫が占める割合は1.3%と少ない.この腫瘍は化学療法や放射線療法に抵抗性を示すとされており,手術療法による完全切除が長期生存を得るために重要と考えられている.また術後補助療法に関してはいまだ確立されていない.今回,当院で経験した悪性転化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫の4症例に関して治療内容およびその予後に関して後方視的に検討し,文献的考察を加えて報告する.
 4例とも初回治療として手術療法を施行し,そのうち1例は不完全切除であった.3例には術後化学療法を施行し,その内訳はブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン併用療法(以下BEP療法)が1例,ドセタキシル+カルボプラチン併用療法(以下DC療法)が2例であった.また,術後補助療法としてBEP療法を施行した1例はその後骨盤内に再発を認めたものの,手術により肉眼的残存腫瘍なく治療が施行でき,治療後9年以上たった現在も無病生存である.
 悪性転化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫において,外科的に完全切除できた症例に関しては長期生存の可能性が示唆されているが,私たちは,再発腫瘍に対しても手術にて完全切除となり,その後長期生存している症例を経験した.また化学療法の選択肢の一つとして,今後タキサン製剤・プラチナ製剤併用療法の有用性に関する検討も必要と考えられた.

Key words:Squamous cell carcinoma, mature cystic teratoma of the ovary
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