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第53巻 第4号

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症例報告
載石位による腹腔鏡手術後にWell-leg compartment syndrome(WLCS)を来した3例
松永 竜也1), 齋藤 圭介1), 有浦 雅代3), 堀田 裕一朗4), 古郡 恵1), 最上 多恵1), 丸山 康世3), 宮城 悦子1), 榊原 秀也2), 平原 史樹1)
1)横浜市立大学附属病院産婦人科
2)横浜市立大学附属市民総合医療センター産婦人科
3)小田原市民病院産婦人科
4)大和市立病院
関東連合産科婦人科学会誌, 53(4):467-473, 2016

 Well-leg compartment syndrome(WLCS)は術中の体位によって健常な足に生じたコンパートメント症候群と定義される.腹腔鏡手術は低侵襲で有効な術式である一方,載石位に加えてTrendelenburg体位での手術であること及び手術時間延長傾向から,それに伴う合併症に遭遇する事がある.我々は腹腔鏡手術後にWLCSを発症した3例を経験した.
 症例は45~52歳で,BMIは24.8~27.3 kg/m2,2例は子宮体癌で1例は子宮筋腫であった.初めての症例では症状の把握や検査,診断に遅れが生じたが,2例目以降はCTなどの早期画像検査及び整形外科への併診などが円滑に進められた.3例とも筋膜切開は行わず,対症療法のみで軽快し,後遺症は残らなかった.
 WLCSは早急な診断と適切な治療が求められ,時期を逸すると運動障害や神経障害の後遺症を残す可能性や横紋筋融解による急性腎不全を併発し,生命に危険が及ぶこともある.組織内の虚血度合を推測し, 疼痛や知覚異常といった症状や臨床検査データの変化に注意し,症例毎に適宜内圧測定を行うなど対応する必要がある.
 我々は3症例の経験をもとに,産婦人科に限らず施設に属する医師やスタッフがWLCSの病態や診断,治療法,発症リスクを理解し,その発症リスクを下げることに努めなければならない.

Key words:Well-leg compartment syndrome, laparoscopic surgery, lithotomy position
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