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第53巻 第4号

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症例報告
妊娠28週に縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫による心タンポナーデを合併した1例
関根 愛子, 浅香 亮一, 倉石 美紗子, 大久保 奈緒, 田中 恭子, 高津 亜希子, 菊地 範彦, 大平 哲史, 金井 誠, 塩沢 丹里
信州大学医学部産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 53(4):489-494, 2016

 縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal large B-cell lymphoma;PMLBL)は全悪性リンパ腫の0.25%と稀な疾患であるが,妊娠可能年齢の女性に好発する.今回,PMLBL合併妊娠の1例を経験した.症例は30歳の初産婦で,妊娠23週頃より咳嗽があり近医で上気道炎として治療された.しかし徐々に増悪し呼吸苦が出現したため,総合病院呼吸器内科に紹介となった.前縦隔に最大径10 cmの腫瘍と左無気肺,左胸水,心囊水を認めたため妊娠27週5日に当院に搬送となった.前縦隔腫瘍に対してCTガイド下生検を行い,縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.心膜播種による心タンポナーデを併発しており,血圧86/51 mmHg,脈拍115/分とバイタルサインの悪化を認めたため,妊娠28週3日に全身麻酔下に開胸心膜ドレナージを行い,同時に帝王切開術を施行した.術後5日目からEPOCH-R療法を開始したところ全身状態は著明に改善した.本症例では心タンポナーデにより母体の全身状態が安定しなかったため,胎児成熟を待つための妊娠中の化学療法が困難であった.心タンポナーデを呈した悪性リンパ腫合併妊娠の報告では,長期の妊娠継続が困難とするものが多いことから,心タンポナーデを来す前の診断・治療開始が重要と考えられた.

Key words:pregnancy, primary mediastinal large B-cell lymphoma, cardiac tamponade
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