書誌情報

第53巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
メトトレキサートが有用であった帝王切開瘢痕部妊娠の一例
前原 真里, 伊藤 仁彦, 谷垣 礼子, 柳本 茂久, 金田 佳史
独立行政法人地域医療機能推進機構埼玉メディカルセンター産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 53(4):547-551, 2016

 帝王切開瘢痕部妊娠は,異所性妊娠の中でも稀であり,放置した場合,瘢痕部破裂・大量出血等,子宮全摘を余儀なくされる疾患である.今回,MTX投与により,保存的に治療し得た症例を経験したので報告する.症例は28歳女性,3経妊3経産(全て帝王切開).妊娠検査薬陽性にて妊娠6週0日に前医を受診した.経腟超音波で子宮内に胎囊を確認できず,妊娠7週0日,異所性妊娠疑いにて当院紹介受診となった.初診時,血中hCG 7,787.0 mIU/ml,経腟超音波にて帝王切開瘢痕部に一致した位置に胎囊を認めた.骨盤造影CTを施行したところ,子宮頸部前壁に低吸収結節を認め,帝王切開瘢痕部妊娠として矛盾しない所見であった.妊娠7週3日,血中hCG 9,953.0 mIU/mlと上昇し,経腟超音波にて瘢痕部の胎囊は増大し卵黄囊も認めたため,メトトレキサート(MTX)50 mgを筋注し,経過観察目的に同日入院となった.妊娠8週0日,血中hCG 10,215.0 mIU/mlと上昇し,経腟超音波では子宮内の血液貯留と腹腔内出血も増量した.妊娠8週3日には血中hCG 8,773.0 mIU/mlと下降したが依然高値であったため,MTX50 mg筋注し退院となった.血中hCGはMTX投与後12週で陰性化し,その4週後より月経が再開した.MTX単回投与での治療完結例はまれであるが,今回,MTX単回投与により保存的に治療し得た,帝王切開瘢痕部妊娠の症例を経験したので報告する.

Key words:cesarean scar pregnancy, methotrexate
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会