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第53巻 第4号

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症例報告
囊胞性子宮腺筋症から発生した子宮体癌の1例
太田 好穂, 水野 薫子, 米澤 真澄
静岡市立静岡病院
関東連合産科婦人科学会誌, 53(4):553-559, 2016

 子宮腺筋症の悪性化は稀である.今回我々は,子宮腺筋症の中でも稀な囊胞性子宮腺筋症から発生した子宮体癌の1例を経験したので報告する.
 症例は63歳,0経妊0経産.45歳より子宮腺筋症のため通院しGnRHaを合計7周期投与.53歳で閉経し55歳で終診.今回,不正性器出血を主訴に受診.経腟超音波検査で子宮体部に7 cm大のスリガラス状の囊胞を認め,MRIでは体部後壁の筋層内にT1,T2強調像で共に高信号を呈する7 cm大の囊胞を認めた.内膜の肥厚は認められず.腫瘍マーカーはCEA 13.5 ng/ml,CA125 118.4 U/mlが上昇していた.囊胞性子宮腺筋症の診断で腹式単純子宮全摘,両側付属器摘出術を施行.摘出子宮の割面では,体部後壁の筋層内に大小の囊胞があり,大きな囊胞には内腔へ隆起する部分も認めた.病理組織では,後壁筋層に子宮腺筋症を認め,大きな囊胞の隆起性部分には漿液性腺癌を認めた.小さな囊胞の壁には類内膜腺癌を認め,筋層浸潤を伴っていたが,深さの評価は困難であった.内膜に病変は無く,癌は子宮体部に限局していた.子宮腺筋症から発生した子宮体癌と診断し,特殊組織型のため再手術として骨盤内・傍大動脈リンパ節郭清,大網切除術を施行.それらに悪性所見はなく,子宮体癌I期(FIGO 2008)と診断した.現在TC療法を6コース終え,術後8か月が経過したが再発はみられていない.

Key words:adenomyosis, endometrial cancer, cystic adenomyomas
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