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第53巻 第4号

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症例報告
帝王切開後に診断された筋緊張性ジストロフィーの1例
藤井 肇, 高橋 慎二, 鈴木 崇公, 勝又 佳菜, 川合 健太, 仲谷 美沙子, 徳永 直樹
磐田市立総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 53(4):609-613, 2016

 筋緊張性ジストロフィー(myotonic dystrophy以下MD)は,筋強直,進行性の筋委縮と筋力低下を主徴とし,白内障や内分泌異常など全身の臓器障害を特徴とする常染色体優性の遺伝性筋疾患である.MD合併妊婦では切迫流早産,羊水過多,遷延分娩,高CPK血症などの合併症が多いとされ,塩酸リトドリン使用により横紋筋融解症を起こすことも知られている.児の呼吸管理が必要となる可能性もあり,有効な治療法は確立されていないが,MD合併妊婦では周産期管理に注意を要する.32歳,0経妊0経産,既往歴:子宮筋腫,手術歴:腹腔鏡下子宮筋腫核出術,現病歴:自然妊娠,帰省分娩のため妊娠32週0日当院初診となった.妊娠37週5日AFI36.7 cmと羊水過多を認め,横位であったため脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔下での同日緊急帝王切開術となった.児は2,432 gの女児,Apgar score1分値1点,5分値4点,出生直後からの全身筋緊張低下を認め気管挿管後,高次医療機関へ転院搬送となった.母体は術前検査にてCPK468 IU/Lと軽度高値を認めていたが,自覚症状および家族歴において明らかな運動障害を指摘されず,顔面頸部を主体とした筋力低下を認めるのみでMDに典型的とされる筋萎縮,ミオトニア,多臓器障害は認められなかった.術後1日目,CPK15,733 IU/Lと高値,針筋電図において筋強直性放電を認め,MDと診断された.母体は軽症であったが児は転院後も人工呼吸器からの離脱は困難で,母体の診断から児は先天性筋緊張性ジストロフィー(congenital myotonic dystrophy以下CMD)が最も疑われた.

Key words:myotonic dystrophy, creatine phosphokinase, polyhydramnios, congenital myotonic dystrophy
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