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第54巻 第1号

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症例報告
傍卵巣組織を原発とした腹膜癌の1例
山内 貴志人, 高野 浩邦, 廣瀬 宗, 田川 尚美, 宇田川 治彦, 駒崎 裕美, 鈴木 二郎, 江澤 正浩, 小曽根 浩一, 上出 泰山, 田部 宏, 岡本 愛光
東京慈恵会医科大学産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(1):27-31, 2017

 傍卵巣組織原発の悪性腫瘍は稀な疾患である.今回我々は傍卵巣組織を原発とし,卵管浸潤を伴う腹膜癌の1例を経験したので報告する.症例は55歳,2経妊2経産の女性.健診のFDG-PETで左付属器領域に高集積を示す病変を認めたため,精査加療目的に来院した.子宮腟部および子宮頸管細胞診はNILMであり,子宮内膜細胞診は陰性であった.経腟超音波断層法では左付属器に径5 cmの充実性腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはCEA 10.7 U/ml,CA19-9 7 U/ml,CA125 94 U/mlであった.骨盤部単純MRIでは左付属器領域に5 cm大の充実成分を伴う囊胞性腫瘤を認め,腹水は認めなかった.胸腹部CTでは遠隔転移やリンパ節腫大は認めなかった.以上より,卵巣悪性腫瘍疑いにて手術を行った.開腹所見では,腹水および腹腔内播種所見は認めず,左側卵巣の腫大を認めた.左側付属器を摘出し術中迅速病理診断を行った結果,低分化型腺癌であったため,単純子宮全摘術,両側付属器切除術,大網切除術,リンパ節郭清(骨盤内~傍大動脈)を施行した.病理組織学的検査では左傍卵巣組織から発生し左卵管浸潤を伴う漿液性腺癌Grade 3を認めた.卵巣には病変を認めず,腹水細胞診は陰性だった.以上より腹膜癌FIGO IIA期と診断し,術後補助化学療法(パクリタキセル,カルボプラチン)を行った.今回,稀な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.

Key words:paraovarian tumor, peritoneal carcinoma
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