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第54巻 第1号

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症例報告
抗NMDA受容体脳炎治癒1年後に卵巣奇形腫が認められた一例
瀬尾 百合子, 古澤 嘉明, 越智 良文, 遠見 才希子, 末光 徳匡, 鈴木 陽介, 森 向日留, 松浦 拓人, 門岡 みずほ, 大塚 伊佐夫, 清水 幸子, 亀田 省吾
亀田総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(1):33-38, 2017

 緒言:抗NMDA受容体脳炎は,腫瘍随伴症候群として知られる.しかし,腫瘍非合併例も報告され,脳炎の再発率が高いことが知られている.また,脳炎発症時には腫瘍を認めず,後に卵巣奇形腫が出現する例も存在する.脳炎治癒後に卵巣奇形腫が生じた小児の一例を報告する.
 症例:11歳時.統合失調症様の精神症状,不随意運動を認め,精査加療目的に入院となった.辺縁系脳炎を疑い免疫療法を行ったところ,脳炎症状は回復した.経過中,卵巣奇形腫は認めなかった.髄液から抗NMDA受容体抗体が証明され,抗NMDA受容体脳炎の診断に至った.発症から69日後に後遺症なく退院となった.発症から約1年後,2.6 cmの卵巣奇形腫が出現した.脳炎再発予防の可能性を考え,腹腔鏡補助下卵巣囊腫摘出術を行った.病理診断は成熟囊胞奇形腫であった.術後1年,脳炎及び卵巣奇形腫の再発を認めていない.
 結論:本例のように,腫瘍非合併例で脳炎治癒後,新たに出現した卵巣奇形腫を摘出した症例の報告はない.肉眼的に正常な卵巣から小さな奇形腫が病理学的に証明された例もあり,腫瘍非合併例では,後の腫瘍の出現には注意が必要である.今後の症例の蓄積により,脳炎治癒後に明らかになった卵巣奇形腫摘出術の脳炎再発予防に対する効果が明らかになることが期待される.

Key words:anti-NMDAR encephalitis, ovarian teratoma, recurrence, pediatrics
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