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第54巻 第1号

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症例報告
GnRHアゴニストを長期投与している摘出困難な静脈内平滑筋腫症の一例
田中 泰裕1)2), 小原 久典2), 高野 宏太2)3), 山中 桜2), 春日 裕美2)4), 樋口 正太郎2), 鷲見 悠美2)5), 山田 靖2), 宮本 強2), 塩沢 丹里2), 鹿島 大靖2)
1)社会医療法人財団慈泉会相澤病院
2)信州大学医学部産科婦人科学教室
3)飯田市立病院
4)JA長野厚生連北信総合病院
5)伊那中央病院
関東連合産科婦人科学会誌, 54(1):63-68, 2017

 静脈内平滑筋腫症(intravenous leiomyomatosis:以下IVLM)は子宮平滑筋または子宮静脈壁平滑筋から発生した組織学的に良性の平滑筋腫が静脈内に伸展する疾患で外科的治療が選択されることが多いが,著明な静脈内進展によって摘出困難な症例も存在する.今回我々は摘出困難と判断してGnRHアゴニストを長期投与し,良好な経過が得られた一例を経験したので報告する.
 症例は38歳の未経妊の女性で下腹部膨満感と下腹部痛を主訴に当科を受診した.MRI検査では子宮体部を置換し剣状突起に及ぶ境界明瞭な充実性腫瘤が腹腔内を占拠していた.腫瘤に出血や壊死を示唆する所見はなかったが,右内腸骨静脈内に進展し頭側では右総腸骨静脈まで,尾側では腟壁周囲の複数の静脈へ達していた.CTガイド下生検で平滑筋腫と病理組織診断し,IVLMと診断した.外科的摘出は困難と判断したためにGnRHアゴニストの投与を開始した.6回投与後のMRI検査で腫瘍の縮小は軽度で静脈内への進展に変化はみられなかったが,自覚症状が著明に改善しGnRHアゴニストの投与を継続する方針とした.61回投与後には骨密度が正常下限まで低下したが,その他の重篤な副作用はなく投与が継続できている.
 本症例ではGnRHアゴニストの長期投与を安全に施行することができており摘出困難なIVLMにおける治療法の選択肢となりうることが示唆された.

Key words:intravenous leiomyomatosis, GnRH agonist, selective estrogen receptor modulator
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