目的:妊娠初期の子宮頸部細胞診異常は,上皮内癌までの病変であれば妊娠中に浸潤癌に進展するリスクは低く,分娩後に消退する例も報告されている.今回,妊娠初期に細胞診異常を示した症例の管理方法について検討した.
方法:2008年~2014年に当院で分娩し,妊娠初期に細胞診異常を示した49例(ASC-US 13例,ASC-H 1例,LSIL 11例,HSIL 20例,AGC 4例)(経腟分娩29例,帝王切開20例)の妊娠中および分娩後の細胞診変化について検討した.細胞診報告はベセスダシステム2001準拠様式で行った.
成績:妊娠初期に細胞診とコルポスコピーでCIN3までの病変と診断した症例で,分娩後にCIN3を超えて進展した症例はなかった.妊娠後期にHSILの87%(20/23例)は分娩後もHSILが持続し(組織診はCIN2 7例,CIN3 13例),分娩様式による差はみられなかった.いったん消退した細胞診異常が,分娩後のfollow中に再燃した症例がみられた(ASC-US 1例,LSIL 2例,HSIL 2例).
結論:妊婦の細胞診異常は,細胞診とコルポスコピーで微小浸潤癌以上の病変を疑う所見がなければ,妊娠中は保存的に管理することが可能と考えられる.妊娠後期のHSILは分娩後も高率に持続し,いったん消退しても再燃する症例があるので,分娩後もfollowを継続する必要がある.
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