結腸癌合併妊娠は極めて稀であり,その頻度は35,000分娩に1例と報告されている.我々は妊娠中に食思不振・体重増加不良を認めたが発見できず,帝王切開時に偶然S状結腸間膜に腫瘤を認め,S状結腸癌の診断に至った症例を経験したため報告する.34歳1経妊1経産.AIHにて妊娠成立後,当院で妊婦健診を施行していた.経過中悪阻にて入院歴があり,妊娠中期まで消化器症状・体重増加不良を認めていた.骨盤位を適応に妊娠38週5日に選択的帝王切開術を施行した.術中にS状結腸間膜に約5 cmの境界明瞭な腫瘤を認め,切除を施行した.病理学的にAdenocarcinomaのリンパ節転移と診断した.産褥期に下部消化管内視鏡にてS状結腸に進行癌を認めた.帝王切開後34日目にS状結腸癌に対して,腹腔鏡補助下S状結腸切除術(D3郭清)を施行した.最終病理診断はS状結腸癌T2(MP)N1(1/34)H0P0M0,Stage IIIa,現在術後化学療法中である.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp