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第54巻 第4号

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症例報告
卵巣癌のリンパ節転移と鑑別を要した骨盤および傍大動脈リンパ節の子宮内膜症の一例
大久保 奈緒1), 小原 久典1), 山本 さやか2), 竹内 穂高1), 井田 耕一1), 樋口 正太郎1), 山田 靖1), 鹿島 大靖1), 宮本 強1), 塩沢 丹里1), 時光 亜希子1)
1)信州大学医学部産科婦人科学教室
2)諏訪赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(4):441-446, 2017

 子宮内膜症は全身の諸臓器に発生する.今回,リンパ節転移を伴う卵巣癌と鑑別を要した卵巣子宮内膜症性囊胞およびリンパ節の子宮内膜症の一例を経験したので報告する.症例は43歳女性,不正性器出血と左下腹部痛を主訴に前医を受診したところ,造影CTおよびMRI検査にて左卵巣癌とリンパ節転移が疑われ当科に紹介受診となった.MRI検査では左付属器領域に長径6 cmの多房性腫瘤を認め,内容は脂肪抑制T1強調像高信号で明らかな充実性部分はなく,左卵巣子宮内膜症性囊胞と考えられた.また,造影CT検査にて骨盤および傍大動脈領域に内部に造影不良域を伴うリンパ節腫大と,腫瘤の圧排による左腎盂および左尿管の拡張が認められた.リンパ節転移を伴う卵巣癌の可能性が否定できず,本人と家族よりインフォームドコンセントを得て,左付属器摘出術,骨盤および傍大動脈リンパ節生検の方針とした.摘出した左卵巣腫瘤とリンパ節内にはチョコレート様の液体を認め,左卵巣腫瘤には明らかな充実性部分はなく,術中迅速組織診では共に子宮内膜症と診断した.左尿管は左卵巣腫瘤が癒着している部位で著明に狭窄していたため,同部位を切断し尿管尿管吻合術を施行した.術後病理検査で左卵巣子宮内膜症性囊胞,骨盤および傍大動脈リンパ節の子宮内膜症,左尿管子宮内膜症と診断した.リンパ節腫大の鑑別にはリンパ節の子宮内膜症の可能性を認識しておくことが重要であると考えられた.

Key words:Endometriosis in lymph nodes, Para-aortic lymph node metastasis, Ovarian tumor
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