近年,がんに対する画像診断及び治療方法の向上や社会の高齢化に伴い,重複がんの頻度は増加している.今回,同時性を含む四重複癌として診断された子宮体癌の一例を経験した.症例は55歳,2経産婦.50歳で閉経し,同年にIIIA期の上行結腸癌を罹患し,その後IA期の肺癌,IIIB期の直腸癌を診断され加療した.肺癌の診断から直腸癌の診断までは6か月以内であった.術後のフォローアップのためCT検査を行ったところ,偶然子宮内膜の異常肥厚を認めた.精査の結果子宮体癌と診断され,手術によりIA期と診断された.Lynch症候群の可能性が高く,診断確定に向けた遺伝子検査のスクリーニングである改訂ベセスダガイドラインに該当することからMSI検査を施行したところMSI-Hと診断された.しかしながら,免疫組織化学染色検査でミスマッチ修復遺伝子のタンパク発現を評価したところ,子宮体癌と大腸癌とで異なる結果を見たため生殖細胞系列での遺伝子変異と判断できず,最終的にLynch症候群の診断には至らなかった.
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