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第54巻 第4号

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症例報告
Bevacizumab投与後の緊急腹腔鏡手術により臍創部に瘻孔形成した一例
堀澤 信, 三村 暢子, 中川 一平, 荒川 知子, 山本 かおり, 本藤 徹
長野赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(4):453-458, 2017

 Bevacizumab(Bev)は,抗血管内皮増殖因子モノクローナル抗体であり,創傷治癒遅延の副作用のため投与終了後に手術を行う場合は十分な期間をおく必要がある.一方で,投与後早期に緊急手術を要することもある.今回,Bev投与後5日目に緊急腹腔鏡手術を要し,臍部に瘻孔形成を認めた症例を経験した.
 症例は57歳,4経妊2経産,子宮全摘術後であり,右胸水貯留の精査から腹膜癌が疑われ,当科紹介となった.診断目的に腹腔鏡下両側付属器摘出術を行ったところ腹膜癌の診断に至り,Paclitaxel+Carboplatin,Docetaxel+Carboplatinの後,Pegylated Liposomal Doxorubicin+Bevを開始した.4サイクル目のBev投与から5日後,腹水穿刺時に下腹壁血管を損傷し,同日腹腔鏡下止血術を行った.術後4週間休薬の後,同治療を再開したところ,術後51日目に臍部に瘻孔形成し,腹水の漏出が術後4か月まで持続した.
 低侵襲手術であっても,Bev投与中の患者では創傷治癒遅延が生じうる.特に,Bev投与後早期の緊急手術症例に対してBevの再投与を行う場合,4週間をこえる長期の休薬が考慮される.また,低栄養状態にある患者においては,創傷治癒過程には特に注意すべきである.

Key words:Peritoneal neoplasm, Bevacizumab, Wound healing, laparoscopy, Serum albumin
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