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第54巻 第4号

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症例報告
妊娠20週台に前置胎盤と診断された子宮内胎児死亡の待機的管理
萩原 優美子1), 亀田 高志1), 日下田 大輔1), 星野 正道1), 井上 真紀1), 篠崎 博光2)
1)群馬大学医学部附属病院産科婦人科
2)群馬大学大学院保健学研究科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(4):471-476, 2017

 前置胎盤の診断は週数により診断率が変わり,妊娠中期に胎盤位置を正確に診断することは困難である.特に妊娠早期であるほど,前置胎盤と診断される率は上昇する.また,妊娠中期以降に生じる前置胎盤を合併した子宮内胎児死亡は頻度が少ないため,その分娩方針および管理については一定の見解はない.今回,我々は子宮内胎児死亡(intrauterine fetal death,以下IUFD)時に前置胎盤と診断した子宮内胎児死亡に対し,待機的管理を行い安全に経腟分娩できた症例を3例経験した.
 症例1は妊娠24週,症例2は妊娠28週,症例3は妊娠25週にIUFDとなった.全例でIUFD時に前置胎盤と診断された.全症例で約4週間の待機的管理を行った.症例1・2では待機的管理の後に前置胎盤が否定的となり,分娩誘発し経腟分娩に至った.症例3では分娩誘発開始時には前置胎盤が否定できなかったが,頸管拡張処置の後,分娩前には前置胎盤が否定的となり,安全に経腟分娩に至ることが出来た.
 今回,当院で経験した妊娠の早期に前置胎盤と診断したIUFD症例では,自然待機の後に前置胎盤が否定された.妊娠の早期であるほど前置胎盤と診断される率は高く,その診断は妊娠週数が進むにつれ否定されることが多い.IUFD時に前置胎盤と診断される症例であっても,待機的管理により前置胎盤が否定的となり,安全に経腟分娩を施行できる可能性があると考えられた.

Key words:placenta previa, fetal death, fetal growth restriction
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