書誌情報

第54巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
癒着胎盤をきたした子宮腺筋症合併凍結胚移植妊娠の一例
三村 暢子, 堀澤 信, 中川 一平, 荒川 知子, 山本 かおり, 村中 愛, 本藤 徹
長野赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(4):495-499, 2017

 癒着胎盤のリスク因子として帝王切開術等の子宮手術既往や前置胎盤などが知られているが,子宮腺筋症は独立したリスク因子としては指摘されていない.今回,凍結胚移植により妊娠し子宮腺筋症の存在がその発症に影響したと考えられた癒着胎盤の症例を経験したため報告する.症例は38歳,0経妊0経産で,3年前に他院で右卵巣子宮内膜症性囊胞に対して腹腔鏡下右卵巣囊腫摘出術を受けた.子宮体部後壁の子宮腺筋症も指摘されていた.その後凍結胚移植で一絨毛膜二羊膜性双胎(MD双胎)が成立した.妊娠37週3日にMD双胎の適応で選択的帝王切開術を行った.両児とも女児,頭位で,それぞれ体重は2,276 gと2,142 g,Apgar scoreは8/9と5/8(1分値/5分値)であった.娩出した胎盤に欠損を認め,後壁に遺残した胎盤を筋層も含めて切除の上,Bakriバルーンを留置しさらにB-Lynch縫合を行った.分娩時出血量は2,000 mlであった.追加切除した遺残胎盤の病理組織より癒着胎盤と診断した.未治療の子宮腺筋症が癒着胎盤のリスク因子として取り上げられることはなかったが,凍結胚移植や子宮内膜の菲薄化と癒着胎盤との関連が近年指摘されている.また,子宮腺筋症が存在すると子宮内膜は菲薄化する傾向があるとの報告もあり,子宮腺筋症で菲薄化した子宮内膜に凍結胚移植を行うことで癒着胎盤のリスクが上昇する可能性があると考えられた.

Key words:Adenomyosis, placenta accreta, cryopreserved embryo transfer
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会