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第54巻 第4号

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症例報告
流産後の胎盤ポリープに対しNBCAを用いた子宮動脈塞栓術を施行後,妊娠出産が可能であった一例
石本 慶子, 根井 朝美, 藤川 朋奈, 北 麻里子, 袖本 武男, 香川 秀之
関東労災病院
関東連合産科婦人科学会誌, 54(4):501-506, 2017

 胎盤ポリープは分娩後や流産後に出血を起こす原因のうちの一つで,出血が多量になると子宮全摘が必要となることもある.今回我々は,流産後に胎盤ポリープを疑い子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization;UAE)を施行し,経過観察の後に自然消失を認め,約2年後に妊娠,出産が可能であった症例を経験したので報告する.
 症例は29歳の2経妊0経産で,自然妊娠後,妊娠16週で完全破水し経腟分娩となった.流産後33日目に超音波断層法で子宮内に3 cm大のやや高輝度な腫瘤を認め,胎盤ポリープが疑われた.出血はほぼなく経過観察していたが,流産後37日目頃より月経様の出血が出現しNBCA(n-butyl-2-cyanoacrylate)を用いたUAEを施行した.妊孕性温存希望が強く,超音波断層法で正常子宮筋層が3 mmと菲薄化が著明で癒着胎盤の可能性も考え経過観察を選択し,約3か月後に腫瘤の消失を確認した.UAE後9か月で自然妊娠し妊娠5週相当で稽留流産となったが,その9か月後にクロミフェン内服により妊娠成立し,切迫早産のため管理入院を要したが,癒着胎盤の所見は認めず,骨盤位のため帝王切開を施行し生児を得た.
 UAEは術後の妊孕性低下が危惧されているが,本症例のように妊娠・出産例も報告されており,妊孕性温存を可能とする出血コントロールのための有用な手段の一つと考えられた.

Key words:placental polyp, uterine artery embolization, fertility-sparing treatment
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