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第54巻 第4号

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症例報告
妊娠末期に発症した特発性肝破裂の1例
萩原 有子, 横澤 智美, 紙谷 菜津子, 小澤 雅代, 三宅 優美, 新井 夕果, 伊藤 朋子, 丸山 康世, 服部 信, 白須 和裕, 平吹 知雄
小田原市立病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 54(4):519-523, 2017

 周産期の肝破裂は非常に稀な疾患で,母児共に死亡率が高い.妊娠中に生じた特発性肝破裂の症例を報告する.34歳0回経妊0回経産.初期より前医で妊婦健診を受診し,経過順調であった.妊娠38週5日に生じた肩痛・腰背部痛を主訴に前医を受診した.CTGで変動一過性徐脈,遷延一過性徐脈が多発し,緊急帝王切開術で女児2,816 g Aps 9/10 UApH 6.98を娩出した.腹腔内に血性腹水を認め,出血源が不明であり,当院へ母体搬送となった.当院到着時,vital signs,血液検査に著明な異常は認めなかった.造影CTで肝左葉外側区域に血腫を認め,外科併診とし経過観察としていたが,血圧低下,頻脈が出現し緊急開腹手術を行った.肝左葉外側区域血腫,破裂の診断で,同部位の切除を施行した.術後,心拍数増加と呼吸困難,右胸痛が出現し,再手術とした.残肝に新たな血腫の出現を認め,治療を試みたが,出血コントロールが不可で死亡に至った.周産期の肝破裂は通常HELLP症候群に合併する.発症時の血液検査結果はHELLP症候群の診断には該当せず,検体の病理検査でも明らかな原因を特定する所見はなく,特発性肝破裂と考える.報告では,肝破裂を発症した場合の母体の死亡率は16.4%であり,病態,治療,管理方法について更なる検討が必要と考える.

Key words:idiopathic hepatic rupture, maternal postpartum death, non-HELLP syndrome, hepatectomy
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