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第55巻 第1号

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症例報告
IUD長期留置を原因としたPID8例の病巣の広がりと腹腔鏡を基本とした治療方針の検討
塙 真輔, 石川 雅彦, 加藤 宵子, 野口 貴史, 廣岡 潤子, 瀬川 恵子, 上田 麗子, 粒来 拓, 荒田 与志子, 長谷川 哲哉
大和市立病院
関東連合産科婦人科学会誌, 55(1):47-53, 2018

 IUDは有用な避妊デバイスであるが,未管理の長期留置によりPIDの原因となる.今回2013年4月から2017年6月までの間にIUDを原因としたPID8例を経験したので報告する.受診理由は8症例中3例が帯下異常,不正出血であり,5症例が下腹部痛,発熱であった.全症例が10年以上IUDを未管理で留置していた.3症例は経腟的IUD抜去ができず,腹腔鏡下での子宮摘出を必要とした.5症例は経腟的IUDが抜去可能であったが,1症例は抜去後子宮留膿腫が発症し洗浄を必要とした.残りの4症例は子宮周囲膿瘍や卵巣,卵管膿瘍併発のため手術を必要とし,このうち2症例は腹腔鏡での感染部位の除去が可能であったが,1症例は腹腔鏡観察で癒着が高度であったため,開腹膿瘍ドレナージを行った.残りの1症例は術者が腹腔鏡での対処が困難と判断し開腹で感染部位除去を施行した.手術目的は感染部位の除去であり腹腔鏡は開腹より周術期の合併症の少ないメリットがある.そこでIUDを原因としたPIDでは,まず腹腔鏡で観察,切除可能であればそのまま感染部位を除去し,癒着が高度と判断すれば開腹という選択が有用と考える.もちろん腹腔鏡自体に術者が不慣れであれば最初から開腹手技を選択しても良い.IUD挿入の際はIUDの長期留置はPIDの原因となること,治療に手術が必要になることもあることを含めてインフォームドコンセントをすることが重要である.

Key words:Pelvic inflammatory disease, Intrauterine device, laparoscopy
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