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第55巻 第1号

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症例報告
若年者にみられた悪性転化を伴う卵巣成熟奇形腫の1例
内山 夏紀1), 小原 久典1), 春日 裕美2), 田中 泰裕3), 中島 雅子4), 竹内 穂高1), 井田 耕一1), 樋口 正太郎1), 山田 靖1), 橘 涼太5), 鹿島 大靖1), 宮本 強1), 塩沢 丹里1)
1)信州大学医学部産科婦人科学教室
2)北信総合病院産婦人科
3)社会医療法人財団慈泉会相澤病院産婦人科
4)伊那中央病院産婦人科
5)飯田市立病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(1):61-65, 2018

 悪性転化を伴う成熟奇形腫の発症は閉経後に多く,若年での発症は稀である.若年者にみられた悪性転化を伴う卵巣成熟奇形腫の1例を経験したので報告する.
 症例は25歳の未経妊の女性で腹部膨満感にて受診した.造影MRI検査で腹腔内に長径17.5 cmの腫瘤を認め,内容は脂肪成分を含み,卵巣成熟奇形腫と考えられた.しかし,腫瘤内部に造影効果を伴う径2.4 cmの充実性部分がみられ,同部位は拡散強調像にて高信号を呈し,ADC mapで信号が低下した.18F-FDG -PET/CT検査で腫瘤内の充実性部分と右総腸骨リンパ節に集積がみられた.腫瘍マーカーはSCC 20.7 ng/ml,CEA 34.9 ng/ml,CA125 82.5 U/mlと上昇していた.悪性転化を伴う右卵巣成熟奇形腫を疑いインフォームドコンセントを得て右付属器摘出術,右総腸骨リンパ節生検,大網切除術を施行した.摘出した右卵巣腫瘤の内容は脂肪および毛髪で,約2 cmの壁在結節を認めた.右卵巣腫瘤の病理診断は扁平上皮癌を伴う成熟奇形腫で,リンパ節と大網に転移はなかったためIA期と診断した.タキサンとプラチナ製剤による術後補助化学療法を3コース施行し,現在まで治療後2年,再発所見なく経過している.
 卵巣成熟奇形腫は若年に好発するが,若年でも悪性転化の可能性があることを念頭に画像や腫瘍マーカーを用いて慎重に評価する必要があると考えられた.

Key words:ovarian mature teratoma, malignant transformation, young woman
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