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第55巻 第1号

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症例報告
卵巣癌初回治療中に発症したフルニエ壊疽の一例
保田 歩, 今野 寛子, 長谷川 瑛洋, 伊藤 崇博, 鈴木 貴士, 中山 理, 鳥居 裕一, 村越 毅, 安達 博
聖隷浜松病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(1):73-78, 2018

 陰部に発症する壊死性筋膜炎をフルニエ壊疽と呼ぶ.比較的稀な疾患であるが,急速に進行する細菌感染症で,皮膚症状に伴う高熱,著しい関節痛,筋肉痛,ショック症状,多臓器不全などの全身症状が特徴的であり,その致死率は高い.
 今回,卵巣癌IIIC期の症例に対しベバシズマブ投与を行ない,フルニエ壊疽発症を経験したので報告する.症例は59歳女性,コントロール不良な2型糖尿病,高血圧を合併していた.術前化学療法としてパクリタキセル,カルボプラチンを6コース施行後にinterval debulking surgery施行した.術後補助化学療法としてドセタキセル,カルボプラチン,ベバシズマブを3コース施行し,ベバシズマブ単剤による維持療法施行中に発熱,左鼠径部の有痛性腫脹を認め,フルニエ壊疽と診断,速やかにデブリードマンを施行した.術後は抗菌薬投与しながら連日創部洗浄し,改善を得た.
 ベバシズマブ投与下でのフルニエ壊疽を合併した症例報告は稀である.その報告の多くは直腸癌症例であり,卵巣癌の症例での報告は我々が調べ得た範囲では認められない.
 糖尿病などの易感染性のリスクがある場合,フルニエ壊疽発症の危険性があることを十分に考慮して,易感染性の状態を改善させてからベバシズマブを投与することが必要であると思われた.

Key words:Bevacizumab, Fournier's gangrene, Ovarian cancer
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