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第55巻 第1号

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症例報告
FDG PET-CTが診断に有用であった乳癌の子宮筋層転移の一例
大塚 伊佐夫, 松浦 拓人
亀田総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(1):79-84, 2018

 乳癌の子宮転移はまれである.われわれは多発子宮筋腫を有する乳癌女性で,内分泌療法中に生じた子宮筋層内への孤発性転移の診断にFDG PET-CTが有用であった症例を経験した.症例は46歳の2回経産婦.腋窩リンパ節腫大を伴う乳癌があり,抗癌剤治療後に手術・放射線療法が行われた.乳癌はエストロゲンおよびプロゲステロン受容体陽性で,トレミフェン内服が術前より開始され術後も継続された.その後に子宮筋腫のため受診したが,乳癌内分泌療法中で肥満もあるため経過観察となった.乳癌治療開始の16か月後にNCC-ST439が再上昇し,PET-CTで子宮体部に最大standardized uptake value(SUVmax)5.1の集積を認めたが,子宮筋腫と考え経過観察となった.NCC-ST439はその後も上昇し,6か月後のPET-CT再検で子宮の集積のSUVmaxも7.8とさらに上昇したため乳癌子宮転移を疑い,子宮全摘・両側付属器摘出を行った.子宮は小児頭大で筋層内に3 cmの結節を認めた.病理所見は腺癌で,免疫組織染色結果より乳癌の子宮転移と診断した.子宮摘出後は化学療法と内分泌療法の追加により4年の無増悪期間が得られた.子宮筋腫のある乳癌女性でFDG PETにて子宮に異常集積をみた場合には注意が必要である.また,乳癌の子宮への孤発性転移では子宮摘出が無増悪生存期間の延長に寄与する可能性がある.

Key words:Breast cancer, PET, myometrial metastasis, uterine leiomyoma
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