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第55巻 第1号

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症例報告
抗NMDAR脳炎に併存した未熟奇形腫の一例と術式の検討
大伴 里沙, 伊藤 めぐむ, 武永 智, 田口 圭祐, 水戸 裕二朗, 佐藤 惟, 吉田 卓功, 松下 瑞帆, 御子柴 尚郎, 秋葉 靖雄, 渡邉 豊治, 小西 康博
済生会横浜市東部病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(1):103-107, 2018

 今回我々は抗NメチルDアスパラギン酸受容体抗体陽性脳炎(以下抗NMDAR脳炎)に併存する左卵巣腫瘍に対して腹腔鏡下左付属器切除術を行い未熟奇形腫と診断した症例を経験した.文献的考察をふまえて本症例の術式について検討した.症例は16歳女性,未経妊未経産,生来健康であった.統合失調症様の症状と痙攣を認め,全身検索を目的に施行されたCT検査にて奇形腫を疑う左卵巣腫瘍を認めた.抗NMDAR脳炎を疑い,腹腔鏡下左付属器切除術および免疫抑制療法を施行した.症状は徐々に改善し,48日目に退院となった.血清抗体検査では抗NMDAR抗体が陽性であった.左卵巣腫瘍の病理組織検査の結果は未熟奇形腫であり,他院でBEP療法(ブレオマイシン,エトポシド,シスプラチン)を施行し,現在は再発することなく経過している.本疾患は若年女性に好発すること,疾患そのものおよび免疫抑制療法を行うために感染のリスクが高いこと,腫瘍径が小さい傾向があることより腹腔鏡下手術の良い適応であると考える.また未熟奇形腫の頻度が高いこと,予後不良な症例が存在すること,腫瘍再発による脳炎の再発リスクがあることより腫瘍の完全摘出が望ましい.以上より,本症例においては腹腔鏡下左付属器切除術を選択し,同様の症例においても選択肢の1つとなりうる術式であると考えた.

Key words:anti-NMDAR encephalitis, immature teratoma, laparoscopic surgery
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