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第55巻 第1号

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症例報告
不妊治療中に発症した腹膜播種性平滑筋腫症の1例
北村 直也1), 小曽根 浩一1), 泉 明延1), 近藤 息吹1), 薮崎 惠子1), 野口 大斗1), 堀谷 まどか1), 黒田 浩1), 上出 泰山1), 江澤 正浩1), 高野 浩邦1), 岡本 愛光2)
1)東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科
2)東京慈恵会医科大学附属病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(1):109-114, 2018

 【緒言】腹膜播種性平滑筋腫症(Disseminated peritoneal leiomyomatosis:DPL)は腹腔内および後腹膜腔に平滑筋腫が播種性に多発する稀な疾患である.今回我々は,不妊治療中に腹腔内に多発する腫瘍を認め,手術時の所見及びその後の病理検査でDPLと診断された1例を経験したので報告する.【症例】49歳,1経妊0経産.3回の腹式子宮筋腫核出術の既往あり.不妊治療中に再発子宮筋腫評価のためにMRIを施行したところ,腹腔内に多発する腫瘍を認め,腹膜癌,腹膜播種疑いで当院紹介となった.CT・MRIでは腹膜に多数の腫瘤を認めたが,腹水の貯留はなく血液検査でも異常は認めず,PET-CTでも異常集積を認めなかった.上部消化管内視鏡検査や下部消化管内視鏡検査でも異常を認めなかったが,悪性腫瘍の可能性も否定できないため試験開腹術を施行した.腹膜,腸間膜,大網に表面平滑な母指頭大~手拳大の腫瘤病変を多数認め,その腫瘤の形態からDPLの可能性が高いと判断し,腫瘤生検のみを施行した.病理検査でDPLの診断であり,現在は外来にて経過観察中である.【結語】不妊治療中に発症したDPLの1例を経験した.DPLは術前に診断が困難な疾患ではあるが,腹腔内多発腫瘤を認めた場合,鑑別としてDPLを挙げる必要があると考えられた.

Key words:Disseminated peritoneal leiomyomatosis, peritoneal carcinoma
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