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第55巻 第4号

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原著
当院での両側総腸骨もしくは内腸骨動脈バルーン留置を行った全前置癒着胎盤症例の転帰
加藤 恵一朗, 松下 充, 加藤 愛理, 今野 寛子, 鈴木 貴士, 松本 美奈子, 安達 博, 村越 毅
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター産科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):429-433, 2018

 全前置癒着胎盤は分娩時大量出血の原因の1つであり,子宮摘出が必要になる症例も多い.当院では既往帝王切開の全前置胎盤例などに対して,総腸骨もしくは内腸骨動脈バルーン留置後に帝王切開を行っている.今回,バルーン留置を行った全前置胎盤例の概要と転帰を把握することを目的とした.
 2009年1月から2016年12月までに動脈バルーン留置を行った全前置胎盤例について,母体の背景,母児のアウトカムについて診療録を用いて後方視的に検討した.
 全前置胎盤63例中,癒着胎盤を疑い動脈バルーン留置を施行した症例は11例,そのうち病理学的に癒着胎盤は9例(81.8%)であった.子宮全摘を行った症例は9例(81.8%)であった.また手術時出血量が2,000 mL以上であったものが8例(72.7%),うち1例(9.1%)は10,000 mL以上であった.貯血式自己血輸血を行ったのは9例(81.8%),同種血輸血を行ったのは4例(36.4%)であった.総腸骨あるいは内腸骨動脈バルーン留置に伴う合併症はみられなかった.尿管ステント留置をおこなったのは6例(54.5%)であった.
 全前置癒着胎盤を疑う症例の手術手順について,放射線科・麻酔科・泌尿器科と合意を得ておくことで予定手術の多くは同種血輸血を回避でき,また緊急手術への対応をスムーズに行う事ができた.また,穿通胎盤ではなお大量出血のリスクが高いことを再認識した.

Key words:placenta accreta, placenta previa, balloon occlusion
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