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第55巻 第4号

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症例報告
急性腹症を呈した淋菌性腹膜炎に対して腹腔鏡下膿瘍ドレナージ術を施行した一例
倉持 美佐子, 西田 晴香, 三角 史, 北 麻里子, 根井 朝美, 袖本 武男, 香川 秀之
関東労災病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):441-446, 2018

 淋菌は主に女性の子宮頸管炎や尿道炎を引き起こし,無症状で軽快することが多く,汎発性腹膜炎に至ることは稀である.急性腹症を呈した淋菌性腹膜炎に対して腹腔鏡下膿瘍ドレナージ術を施行した一例を経験したので報告する.
 生来健康な25歳女性,G0P0,未婚.来院12時間前からの激しい下腹痛と嘔気があり救急搬送された.腹部は板状硬で,筋性防御があり,血液検査で炎症反応上昇,腹部CTにて腹膜炎の所見を認め,同日入院とした.入院翌日の血液検査,腹部所見は共に増悪した.同日子宮頸管分泌物淋菌PCR陽性と判明したため,淋菌による腹膜炎を疑い,セフトリアキソン1 g12時間毎の投与を開始した.抗菌薬治療により血液検査上,炎症反応は改善したが,腹痛は持続した.入院7日目,経腟超音波及び腹部CT検査でダグラス窩膿瘍の所見を認めた.入院9日目に腹腔鏡下膿瘍ドレナージ術を施行した.腸管と両側付属器が周囲の腹膜と広範囲に癒着しており,ダグラス窩膿瘍の開放,腹腔内洗浄,ドレーン留置を行った.手術翌日より症状及び血液検査上炎症反応は改善傾向を示した.術後5日まで抗菌薬治療し退院とした.
 淋菌性腹膜炎は腹部症状が非常に強いのが特徴である.比較的若年女性で本症例のような症状を認める場合は鑑別として淋菌性腹膜炎を挙げ,薬物治療が奏功しない場合は腹腔鏡下ドレナージ術を含めた外科的介入を検討する必要がある.

Key words:gonococcal peritonitis, laparoscopic drainage
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