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第55巻 第4号

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症例報告
Basedow病に対してアイソトープ治療3か月後に妊娠し健児を得た1例
高 一弘, 露木 大地, 李 泰文, 川村 温子, 鈴木 直宏, 森部 絢子, 伊藤 訓敏, 川島 直逸, 小阪 謙三
静岡県立総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):465-469, 2018

 Basedow病に対するアイソトープ治療(131I内用療法)は,甲状腺機能亢進症を確実に是正できる治療法として,有効性,安全性が確立されている.しかし,一般的には妊婦や妊娠の可能性がある女性に対して,131I内用療法は禁忌とされており,また治療後は一定の期間避妊すべきとされている.今回我々はBasedow病に対して内用療法後3か月半で妊娠し,母児とも良好な予後を得た1例を経験したため報告する.
 症例は25歳1妊1産婦.Basedow病に対して薬物治療及び131I内用療法を行われた.内用療法後,最低6か月間の避妊が必要であることを伝えられていたが,結果的には最後の内用療法から3か月半で妊娠が成立した.当科では,避妊指示期間中に妊娠した場合でも胎児奇形が増える証拠はないこと,及び人工妊娠中絶を勧める医学的根拠はないことを説明したところ,本人は妊娠継続を希望した.妊娠経過は良好であり,妊娠41週4日に体重3,482 gの女児(Apgar score 9/10点(1/5分値),臍帯動脈血pH:7.170)を娩出した.児は生後に甲状腺機能を含め,明らかな異常を指摘されなかった.産後1か月健診においても,児の発育は良好であったため小児科終診となった.
 Basedow病に対する治療法として内用療法が選択されることも少なくないが,避妊推奨期間中に妊娠に至った場合や妊娠に気が付かず内用療法が実施された場合などの対応について,正しい知識と理解が求められる.

Key words:Pregnancy, Graves'disease, Iodine Radioisotopes, Deformities, Hyperthyroidism
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