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第55巻 第4号

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症例報告
存続絨毛症の寛解後,9年を経て絨毛癌を発症した1例
小嶋 朋之, 北川 雅一, 橋本 彩紗, 牛尾 江実子, 内田 絵梨, 祐森 明日菜, 岡田 有紀子, 宮城 悦子, 榊原 秀也
横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):471-477, 2018

 絨毛癌は,先行妊娠終了から発症までの潜伏期間が比較的短期間であることが多いとされている1).今回,存続絨毛症の治療後9年を経てから不正性器出血を契機に受診され,絨毛癌と診断した1例を経験したので報告する.
 症例は50歳,3妊1産,閉経は47歳.
 40歳の時に自然妊娠したが,超音波画像から胞状奇胎が疑われ,子宮内容除去術施行後に部分胞状奇胎の診断となった.その後hCG値の減少が非順調型で,臨床的に病巣が確認できず,奇胎後hCG存続症の診断でメトトレキサート単剤による化学療法を施行したところ,hCG値は漸減し,半年後に寛解した.その後,4年間経過観察を行ったが,hCG値の再上昇なくフォロー終了し,終診となった.
 その5年後,不正性器出血を主訴に近医を受診され,超音波検査で子宮体部腫瘤を疑われて精査加療目的に当院へ紹介となった.
 超音波・造影MRI検査上,子宮体部左側筋層内に54 mm大の腫瘤形成を認め,また血液検査でhCG 2,085 mIU/mlと高値であった.全身検索を行ったが,病巣が確認されたのは子宮のみであり,絨毛癌の診断で組織学的診断・治療目的に腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術を施行した.病理診断は絨毛癌であった.術後にMEA療法を5コース施行し,寛解した.
 先行妊娠終了から長期の潜伏期間を経てから絨毛癌が発症する可能性があることを認識する必要がある.

Key words:choriocarcinoma, persistent trophoblastic disease, uterine tumor
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