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第55巻 第4号

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症例報告
産褥期に多量出血し子宮摘出を要した非前置癒着胎盤の2例
高野 宏太1), 橘 涼太1), 曽根原 健太1)2), 池田 枝里1), 橘 理絵1), 松原 直樹1), 山崎 輝行1)
1)飯田市立病院産婦人科
2)JA長野厚生連南長野医療センター篠ノ井総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):485-492, 2018

 帝王切開既往のある前置胎盤の場合は癒着胎盤を疑って術前の精査により治療方針を決定することが可能であるが,胎盤位置異常がなく,かつ子宮筋層におよぶ手術既往のない癒着胎盤では,分娩前に積極的に癒着胎盤を疑うことは困難であり,治療法は確立されていない.今回我々は,分娩後の胎盤遺残に対して経過観察を行っていたが,産褥期に自宅で多量出血をきたしてショックとなり,子宮摘出術を施行して救命した非前置癒着胎盤の2例を経験した.症例1は40歳の1回経産婦で,妊娠39週2日に自然経腟分娩となった.胎盤が娩出されず用手剝離を試み大部分は剝離したが,一部は剝離できず子宮内に遺残した.その後持続出血がないため退院としたが,産褥15日目に自宅で多量出血を来してショック状態で再入院となった.子宮摘出術を施行し,病理検査で絨毛組織が脱落膜を介さず直接子宮筋層に接しており癒着胎盤と診断した.症例2は41歳の初産婦で,妊娠41週0日に自然経腟分娩となった.胎盤の娩出に難渋し産後の診察で子宮内に遺残腫瘤を認めたが,持続出血がなかったため退院として経過観察の方針とした.産褥9日目に自宅で多量出血を来してショック状態で再入院となった.子宮摘出術を施行し,病理検査で癒着胎盤と診断した.癒着胎盤による胎盤遺残で保存的に経過観察する方針とした場合は,産褥期にショックに至る多量子宮出血を来す恐れがあり,特に急な性器出血には注意を要すると考えられた.

Key words:placenta accreta, massive puerperal hemorrhage, hysterectomy
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