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第55巻 第4号

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症例報告
待機的治療を行った浸潤子宮頸癌合併妊娠の2例
冨岡 紀子, 澁谷 裕美, 渡邉 百恵, 松島 実穂, 西ケ谷 順子, 井澤 朋子, 百村 麻衣, 松本 浩範, 小林 陽一, 岩下 光利
杏林大学医学部産科婦人科学教室
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):505-510, 2018

 今回我々は妊娠に合併した進行子宮頸癌に対し,待機的な治療を行った2例を経験したので報告する.症例1は37歳,未産婦.子宮頸部高度異形成疑いのため妊娠10週で当院に紹介.子宮頸部扁平上皮癌IB1期と診断し根治手術を提案したが,本人と家族から妊娠継続と円錐切除術の強い希望があり,妊娠15週に円錐切除術と子宮頸管縫縮術を施行.その後paclitaxel+CBDCA(TC療法)を計4コース施行し妊娠31週6日に帝王切開術,その2週間後に根治手術を施行.術後TC療法を3コース追加施行し,現在再発なく外来で経過観察中である.症例2は32歳,未産婦.子宮頸部高度異形成疑いのため妊娠10週で当院に紹介.子宮頸部扁平上皮癌IIA2期と診断し妊娠中絶後に根治手術を行うことを考慮したが,子宮腟部全体が腫瘍で置換され中絶手術が困難であったため,化学療法を先行する方針として妊娠15週からTC療法を開始した.腫瘍の縮小を認めたため4コース後に帝王切開術と根治手術を予定していたが,TC療法を3コース後に増大を認めたため化学療法を中断,妊娠27週6日に帝王切開術と根治手術を施行.術後3か月で腟壁再発を認め放射線治療+化学療法併用療法を施行したがその後再燃し,初回治療後から22か月で現病死した.なお2症例とも児に今のところ異常は認めていない.現在IB期以上の浸潤子宮頸癌合併妊娠に対して標準的治療は確立しておらず母体を最優先するのが原則であるが,本人や家族が妊娠継続を強く希望する場合は,十分な説明をすると共に他科とも綿密な協議の元に治療方針を決定することが重要である.

Key words:cervical cancer during pregnancy, chemotherapy, elective treatment
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