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第55巻 第4号

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症例報告
分娩時の負荷で多発椎体骨折を発症した妊娠後骨粗鬆症の1例
筑田 陽子1), 野口 里枝1), 伊藤 浩子2), 飯場 萌絵1), 染谷 勝巳1)
1)茨城西南医療センター病院産婦人科
2)筑波大学医学医療系産科婦人科学
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):535-540, 2018

 妊娠中や産後に腰背部痛を認めることは日常診療でよく遭遇するが,今回,分娩の負荷で多発椎体骨折を発症した妊娠後骨粗鬆症を経験したので報告する.症例は39歳,1妊0産.骨粗鬆症性骨折の家族歴はないが,偏食,ダイエットの既往があった.妊娠中に18.1 kgの体重増加があり,BMIは38.4まで増加した.妊娠38週0日,妊娠高血圧症候群の適応で分娩誘発を行い経腟分娩となった.分娩後より腰背部痛が出現し,産褥1日目より歩行不能となりMRI検査で第1~11胸椎多発椎体骨折の診断となった.DXA法による腰椎正面(L2-L4)のbone mineral density(BMD)が0.942 g/cm2,若年成人平均値(young adult mean:YAM)84%,Tスコア-1.5であった.コルセット装着,床上安静ののちリハビリを行い,産褥22日に杖歩行で退院した.退院後授乳の中止とテリパラチド投与を行い産褥4か月のMRI検査では新たな椎体骨折の出現を認めなかった.その後リハビリのため転院となったが,現在産後1年経過し,鎮痛剤と活性型ビタミンD3製剤を継続内服している.妊娠後骨粗鬆症は病態が不明な点が多く治療法も確立されていない.椎体骨折はQOLの低下にもつながる疾患であり,次回の妊娠出産や長期的な予後を改善するための治療戦略が必要と考える.

Key words:pregnancy, osteoporosis, vertebral fracture, teriparatide
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