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第55巻 第4号

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症例報告
超音波断層法による胎児心拍観察により経腟分娩管理を行った持続性胎児頻脈の一例
関根 愛子, 新垣 達也, 松岡 隆, 坂本 美和, 瀧田 寛子, 徳中 真由美, 大場 智洋, 仲村 将光, 関沢 明彦
昭和大学医学部産婦人科学講座
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):541-546, 2018

 頻脈性胎児不整脈では,持続時間が12~48時間を超えると循環動態が破綻して胎児水腫を起こすと言われており,医療介入のタイミングに苦慮することが多い.今回,分娩進行時に初めて頻脈性胎児不整脈が確認され,well-beingを評価しながら分娩管理を行った一例を経験した.症例:42歳,初産婦,妊娠39週1日に陣痛発来で入院した.入院時140 bpmであった胎児心拍数は5.5時間後に240 bpmの胎児頻脈となり持続したため,超音波Mモード法で不整脈の鑑別を行い上室性頻拍と判断した.CTGによるwell being評価は困難だったため,BPSで評価を行いwell-beingは良好と判断し,そのまま経腟分娩の方針とした.分娩進行中は,胎児心拍ドプラ聴取法および超音波断層法で胎児心拍数の確認と児のwell-beingの評価を行った.子宮口全開大後,子宮収縮に遅れて胎児心拍が220 bpmから150 bpmに反復して低下したため,胎児機能不全と判断して鉗子分娩を施行した.出生直後190~210/分の頻脈がバルサルバ法にて140/分に低下し,その後の12誘導心電図では不整脈を認めなかったことより上室性頻脈発作と診断した.分娩進行時に胎児の頻脈性不整脈が存在しても,超音波検査で胎児のwell-beingの評価を継続的に行うことで,経腟分娩を選択することも可能であると考えられた.

Key words:胎児頻脈, 胎児頻脈性不整脈, 胎児心拍数図, 分娩管理
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