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第55巻 第4号

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症例報告
妊娠中発症の胸腺腫合併赤芽球癆:妊娠関連赤芽球癆との鑑別
寺田 周平, 松下 充, 今野 寛子, 鈴木 貴士, 村越 毅
総合病院聖隷浜松病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):555-560, 2018

 赤芽球癆は正球性正色素性貧血を呈し,網赤血球および骨髄赤芽球の著減を伴う造血器疾患である.後天性慢性赤芽球癆の原因として胸腺腫が最も頻度が高いが,稀に妊娠が知られている.今回我々は,妊娠関連赤芽球癆と診断したが分娩後も貧血が改善せず,産後の精査で胸腺腫を認めた症例を経験した.症例は38歳,妊娠12週時点ではヘモグロビン(Hb)10.4 g/dlだった.妊娠24週から耳鳴が出現,妊娠28週でHb 2.3 g/dlの正球性正色素性貧血を認めた.網赤血球0.4%と著減し,骨髄に赤芽球を認めなかった.赤芽球癆の原因となりうる異常所見を他に指摘できず,妊娠関連赤芽球癆と診断した.輸血を行いながら妊娠継続し,妊娠41週分娩誘発を行い,胎児機能不全のため帝王切開分娩となった.分娩後も貧血が改善せず,分娩後23週のCT検査で胸腺腫を認めた.シクロスポリン内服を開始し貧血は改善した.妊娠中に発症した胸腺腫合併赤芽球癆を経験した.本病態は我々が検索し得た限りこれまで報告がない.非妊時の赤芽球癆における胸腺腫合併例の頻度を考慮すると,妊娠中であっても胸腺腫の鑑別にCTやMRIなどの画像診断を行ってもよいかもしれない.本病態でも分娩後のシクロスポリン投与は有用だった.

Key words:Pure red cell aplasia, Pregnancy, Thymoma
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