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第55巻 第4号

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症例報告
分娩後に胎児共存奇胎と診断された一例
岡村 真奈美, 川上 香織, 藤井 えりさ, 池ノ上 千草, 浅野 真, 砂倉 麻央, 岩田 みさ子, 桃原 祥人
東京都立大塚病院
関東連合産科婦人科学会誌, 55(4):561-565, 2018

 胎児共存奇胎とは,正常胎児と全胞状奇胎の双胎とされ非常に稀な病態である.今回我々は,早産分娩後に胎児共存奇胎と診断された一例を経験したので報告する.症例は28歳1妊0産,排卵誘発後に妊娠成立を確認した.妊娠20週5日の経腹超音波断層法検査で,胎盤に連続する腫瘤性病変を認め,妊娠24週時にMRI検査にて子宮筋腫の変性,絨毛膜下血腫の診断で,前医にて妊娠管理が行われていた.妊娠26週1日に子宮収縮増強を認めたため前医を受診した.診察所見では,胎胞膨隆を認め切迫早産の診断で当院へ母体搬送となった.搬送時の経腹超音波断層法検査では,胎盤から連続する最大径8 cmの腫瘤を認めていた.塩酸リトドリン,硫酸マグネシウム点滴にて治療を行うも,子宮収縮抑制困難であり,妊娠26週2日に頭位経腟分娩となった.児は1,052 g(AFD)男児,Apger score 1分値5点,5分値9点であった.胎盤娩出後に,肉眼的に胞状奇胎を疑う約14 cm大の腫瘤の排出を認め,胎盤に連続した腫瘤性病変であると考えられた.病理組織検査では,胞状奇胎の診断であった.当院搬送時の血中hCG値は24,641 mIU/ml,分娩13週後には血中hCG値も感度以下に低下し,順調に経過している.本症例は,子宮内に腫瘤性病変を認めるも,分娩後に胎児共存奇胎と診断された.妊娠・分娩後も合併症を引き起こす可能性があるため慎重な管理が必要である.

Key words:hydatidiform mole coexistent with a live fetus, hydatidiform mole
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