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第56巻 第1号

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症例報告
出血に対して腟内ガーゼ圧迫で妊娠継続を図った子宮頸部静脈瘤合併妊娠の3例
横川 裕亮1), 安藤 大史1), 山田 諭1), 浅香 亮一1), 布施谷 千穂1), 菊地 範彦1), 大平 哲史1), 金井 誠2), 塩沢 丹里1)
1)信州大学医学部産科婦人科学教室
2)信州大学医学部保健学科小児・母性看護学領域
関東連合産科婦人科学会誌, 56(1):59-65, 2019

 子宮頸部静脈瘤は稀な妊娠合併症であり,妊娠・分娩中の性器出血の原因となるがその管理方法は確立されていない.今回,子宮頸部静脈瘤からの出血に対し腟内ガーゼ圧迫で妊娠期間の延長が可能であった3例を経験したので報告する.症例1は全前置胎盤であり,妊娠中期より頸部静脈瘤からの出血を繰り返したがその度にガーゼ圧迫を行うことによって妊娠期間の延長が可能であった.症例2は二絨毛膜二羊膜双胎に低置胎盤を合併しており,妊娠中期から認められた頸部静脈瘤からの出血に対してガーゼ圧迫を繰り返して対応した.症例3は妊娠30週で低置胎盤および頸部静脈瘤を認め,その後常位胎盤となったが静脈瘤は残存していた.妊娠35週に静脈瘤からの出血を来したためガーゼ圧迫で止血を図った.全症例でガーゼの感染・腟内の乾燥・静脈瘤への損傷を防ぐためにスルファジアジン銀クリームを塗布したガーゼを使用した.特に繰り返し使用した症例1,2においても腟内細菌叢は正常に維持されていた.妊娠中に性器出血を認めた場合,子宮頸部静脈瘤を想定して肉眼および経腟超音波で観察することが必要である.特に前置・低置胎盤を伴う場合にはそれによる出血か否かをよく観察し,静脈瘤からの出血例ではガーゼ圧迫による止血が有用と考えられた.低置・前置胎盤が内子宮口から離れて常位胎盤となった後にも静脈瘤は残存することがあり注意が必要と考えられた.

Key words:pregnancy, uterine cervical varices, low-lying placenta, vaginal packing, hemostasis
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