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第56巻 第1号

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症例報告
原発不明がんの疑いで試験開腹術を施行した結核性腹膜炎の1例
山本 敬介1), 楯 真一1), 錦見 恭子1), 松岡 歩1), 羽生 裕二1), 塙 真輔1), 碓井 宏和1), 三橋 暁1), 松嶋 淳2), 生水 真紀夫1)
1)千葉大学医学部附属病院婦人科
2)千葉大学医学部附属病院病理診断科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(1):79-83, 2019

 原因不明の腹水を伴い,PET-CTで腹腔内に集積を認めた場合,癌性腹膜炎とともに結核性腹膜炎が鑑別診断として挙がるが,その診断は困難である.胸腹水を認め原発不明がんの診断で開腹手術を施行し,病理学的検索から結核性腹膜炎と診断した1例を報告する.症例は58歳.関節リウマチのため10年間プレドニゾロン内服を続けていた.1か月前から腹部膨満感が出現.大量の胸腹水を認めたが,腹水細胞診は陰性であった.PET-CTで骨盤リンパ節などに集積を認めた.画像検査で右付属器領域に小腫瘤を認め,CA125高値であったことから,原発不明がん,特に卵巣癌・卵管癌を疑い試験開腹術を施行した.大網は炎症性に広く前腹壁に癒着していたが,両側付属器を含め腹腔内に明らかな腫瘤は認めなかった.原発確認のため,両側付属器切除および大網部分切除を施行した.術後,病理組織標本中にラングハンス巨細胞を認めたため,結核菌INF-γを測定すると強陽性であった.結核性腹膜炎と診断し,抗結核薬を投与した.患者の炎症反応は低下し腹水も消失した.本症例では,大量の胸腹水があるもののPSが保たれていたこと,細胞診陰性だったこと,画像診断にて腹膜の均一な肥厚を認めたことなど卵巣癌の定型例とは異なっていた.さらに長期の免疫抑制状態というリスク因子を持っていた.このような症例では,稀ではあるが結核性腹膜炎も鑑別にあげる必要があると思われた.

Key words:tuberculous peritonitis, unknown primary cancer, ovarian cancer, cancer of tubae
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