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第56巻 第1号

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症例報告
皮下埋め込み型避妊用インプラント使用中の脳静脈洞血栓症の一例
加藤 恵一朗, 村越 毅, 伊賀 健太朗, 加藤 愛理, 曽我 江里, 寺田 周平, 今野 寛子, 小林 光紗, 小林 浩治, 塩島 聡, 松下 充, 高木 偉博, 鈴木 貴士, 安達 博
聖隷浜松病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(1):99-103, 2019

 プロゲスチン製剤には様々なものがあり,日本では未発売のものに,皮下埋め込み型の製剤がある.国内でも海外で挿入した患者が副作用のため抜去したという報告はみられるが,血栓症が発症し抜去した報告は我々が調べ得る限りではなかった.今回,皮下埋め込み型プロゲスチン製剤使用中に脳静脈洞血栓症を発症した症例を経験したため報告する.
 症例は特に既往歴や家族歴のない東アジア出身の37歳で,1日あたり15本の喫煙歴があった.主訴は頭痛で,頭痛発症の11日前にプロゲスチン製剤を韓国で右上腕皮下へ埋め込んだ.就寝中に頭痛を発症し,搬送となった.来院時はJCSI-1,その他バイタルサイン,神経学的所見に異常所見はなかった.右上腕に可動性良好な長径4 cmの棒状物を認めた.頭部MRIで脳静脈洞血栓症を認め,皮下埋め込み型プロゲスチン製剤は抜去の方針とした.局所浸潤麻酔し遠位端の直上をメスで切開し脂肪組織まで達した.皮下を誘導して切開創から埋め込み型プロゲスチン製剤の一部が露出したところで,ペアンで把持し牽引,抜去した.脳静脈洞血栓症は抗凝固療法を行い経過良好で退院となった.
 若年女性における血栓症発症時には,日本では未発売の埋め込み型製剤なども含めた避妊薬についての問診が重要であり,プロゲスチン製剤であっても患者背景によっては血栓リスクとなることがあるため使用の中止を検討すべきである.

Key words:long-acting reversible contraception, progestins, venous thrombosis
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