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第56巻 第1号

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症例報告
子宮筋腫の術前診断で腹腔鏡下腫瘍摘出術後Solitary fibrous tumor(SFT)と診断された骨盤内腫瘍の一例
中嶋 理恵1), 村松 俊成1), 杉山 太朗1), 泉 顕治1), 間邉 貴俊1), 楢山 知紗1), 楢山 知明1), 飯田 哲士1), 塚田 ひとみ1), 前田 大伸1), 三上 幹男2)
1)東海大学医学部付属八王子病院産婦人科
2)東海大学医学部付属病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(1):125-130, 2019

 孤発性線維性腫瘍 Solitary fibrous tumor(SFT)は,1931年に胸腔内病変として初めて報告された間葉系腫瘍である.発生率は胸腔内が68%と最も多く,骨盤内に発生するSFTは約1%と稀である.今回我々は,術前MRI検査により漿膜下筋腫と診断され,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行し,病理検査でSFTと診断された一例を経験した.症例は37歳,0妊0産,挙児希望にて前医を受診したところ骨盤内腫瘍を認め精査加療目的に当院紹介受診となった.MRI所見では,T1強調画像で低信号,T2強調画像で一部高信号を認める低信号な腫瘤を認め,変性を伴う漿膜下筋腫を疑った.後日,腹腔鏡下腫瘤切除術を施行.腫瘤は子宮との明らかな連続性は認めず,ダグラス窩腹膜より突出していた.また,内部は灰白色でもろく,易出血性であった.病理検査では,HE染色でSFTに特徴的なpatternless patternやstaghorn patternを認め,免疫染色では筋原性腫瘍,神経原性腫瘍,脂肪肉腫,GISTが除外診断され,SFTの診断に至った.SFTは特徴的な画像所見に乏しく,本症例のように子宮筋腫の診断で手術を施行されている症例も報告されている.悪性の診断条件のひとつとして腫瘍径が10 cm以上という項目が挙げられており,MRIにおいて,10 cmをこえる子宮筋腫や卵巣腫瘍を疑う所見を認めた場合,注意が必要である.

Key words:solitary fibrous tumor, pelvic tumor
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